VARREL運営のCELLORB、10億円調達で独立化を実現

大型資金調達により親会社から独立
2025年10月15日、eスポーツ事業を手がけるCELLORBが重要な転換点を迎えました。東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)が主導する投資ラウンドで10億円の資金調達に成功し、これまで親会社だったDONUTSの傘下から独立することとなりました。
神奈川県横浜市に本社を置く同社は、代表取締役社長の鈴木文雄氏のもと、2024年にVARRELとTOPANGAという二つの組織が合併して生まれた比較的新しい企業です。今回の独立により、より機動的な経営判断と大胆な投資戦略が可能になると期待されています。
経営体制の刷新も今回の大きな特徴です。新たに取締役最高執行責任者(COO)として迎えられたのは、経済情報プラットフォームを展開するユーザベースで2020年から2024年まで共同代表を務めた佐久間衡氏です。京都大学大学院で数学を専攻し、UBS証券での投資銀行業務を経て、ユーザベースで「経済情報の民主化」に取り組んできた人物です。
佐久間氏は就任にあたり、ゲームが持つコミュニティ形成力に着目しています。AI時代における「居場所づくり」という社会課題解決の手段として、eスポーツの可能性に期待を寄せています。現在の経営陣には、代表取締役社長の鈴木文雄氏に加え、取締役副社長の豊田風佑氏、そして現役プロゲーマーとしてときどの名前で知られる谷口一氏が取締役として名を連ねています。
多角的な事業展開で業界基盤を構築
CELLORBの事業は単なるチーム運営にとどまりません。主力のeスポーツチーム「VARREL」の運営に加え、格闘ゲームファンのコミュニティ「TOPANGA」、アパレルブランド「+1F」を展開しています。さらに、全国の高校eスポーツ部を支援する「クラサポ」や、次世代選手を育成するユースチームの運営など、業界の裾野を広げる活動に力を入れてます。
調達した10億円は、優秀な人材の採用、システム開発、知的財産(IP)の創出など、事業拡大に向けた投資に充てられる予定です。主幹事投資家であるUTECの坂本教晃氏(代表取締役COO兼マネージングパートナー)は、eスポーツとテクノロジーの融合により、エンターテインメント業界を超えた影響力を持つ可能性を指摘しています。
その他の投資家には、D4V、テレビ朝日系のEX Innovation Fund、地域と人と未来、SMBCベンチャーキャピタルが名を連ね、幅広い業界からの支援体制が整いました。
追い風を受けるeスポーツ市場と今後の展望
世界のゲーム人口は37億人に達し、国境や世代を越えた普遍的な娯楽として定着しています。CELLORBはこの巨大市場において、日本発のコンテンツと文化を世界に発信する役割を担おうとしています。
CELLORBは、eスポーツを一過性のブームではなく、持続可能な文化として定着させることを目指しています。競技としての側面だけでなく、コミュニティ形成や教育への活用など、社会的価値の創出にも注力する方針です。
独立により得た経営の自由度と、10億円という資金力を武器に、日本のeスポーツ産業をどこまで成長させることができるか、新体制でのCELLORBの挑戦に業界の注目が集まっています。



