サウジアラビア・Qiddiyaが「EVO」運営会社を買収

中東資本による格闘ゲーム界への大型投資
格ゲー界に大きな変化が訪れました。格ゲー界の最高峰である「EVO(Evolution Championship Series)」の運営を手がけるRTSが、サウジアラビアの「Qiddiya」によって買収されることになりました。
この動きは9月2日、QiddiyaでCSO(最高戦略責任者)を務めるMuhannad Aldawood氏のLinkedIn投稿によって公表されました。Qiddiyaは今回の買収によりEVOを新たなレベルへ押し上げていく方針を示しています。
運営権の移り変わりが加速
EVOの運営体制をめぐる動きは、ここ最近特に活発化していました。つい先月には、長年株主だったソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)がその持分をNODWIN Gamingに譲渡し、以後はグローバルスポンサーとしての立場でイベントを支援していく体制に変更されていました。
しかし、今度はそのRTSがQiddiyaの完全子会社になることで、再び運営構造が変わることになります。
eスポーツに巨額投資するQiddiya
EVOを買収したQiddiyaは、サウジアラビアが進める巨大エンタメ都市プロジェクトの一翼を担っています。首都リヤド近郊に建設中の「Qiddiya City」では、世界初のゲーミング&eスポーツ専用地区が整備される予定です。
この計画には、数万人規模の観客を収容できるアリーナや、プロチーム向けのトレーニング施設、ゲーム企業の地域拠点などが含まれ、まさにeスポーツのための街づくりといえます。さらに「ドラゴンボール」をテーマにした世界初のパークなど、ゲームとアニメに特化した体験型施設も開発される予定で、世界中のゲーマーやファンを引き寄せる構想です。
格ゲー界への影響
Aldawood氏は今回の買収について、eスポーツビジネスの拡充と、ゲーミング業界全体での新しいチャンスの創出につながると説明しています。また、格ゲーファンの期待に応えながら、EVOというブランドをこれまで以上の高みへと導いていくと述べています。
豊富な資金力を背景とした運営により、トーナメントの規模拡大や設備の充実が期待される一方で、開催場所や大会の性格に変化が生じる可能性もあります。長年にわたって築かれてきた格ゲーコミュニティの文化や伝統がどのように継承されるかが、今後の焦点となるでしょう。

